ターンテーブル シートの変更
レーザーターンテーブルのターンテーブルシートは基本的に交換が出来ません。
シート自体がやや堅めの『発泡スポンジ』といった素材でターンテーブルに接着されています。
このシートは長いこと使用していると徐々に弾力を失い目が詰まって来ます。 意外に汚れやすく、指で押してしまったりすると凹んでしまい、古くなると完全に復元しなくなります。
この時シートだけ交換できれば良いのですが、ターンテーブル丸ごとの交換で、価格は15,000円程するようです。
そこで、考えたのがシートをすべて剥がして新しいシートを貼ってしまう方法です。
ちょっと横道に逸れますが、ターンテーブルシートによって意外に音質が変わります。
以前メーカーにいたとき、KP-1100と姉妹機のKP-990という2種類のターンテーブルで、価格差もあり購入層も異なるだろうと、KP-990には元気のある音が出るようにとやや堅めのシートを選び、KP-1100には元気さよりもアナログらしい優しさと分解能を意識した柔らかめのシートを選びました。
重要なのはターンテーブルとレコード盤をしっかりとホールド出来るかという点です。これにより音質も変化します。残念ながらレーザーターンテーブルのオリジナルターンテーブルシートは比較的滑りやすくホールド性は低いものです。 実際にオリジナルのターンテーブルシート上にレコードを載せてレコードの外周を指でなぞるとレコードは動いてしまいますが、新ターンテーブルシートではレコードは全く動きません。
一般的なレコードプレーヤーなら素材の異なる何種類かのターンテーブルシートが販売されているので、手軽に交換してシートの厚みに応じてアームの高さ調整を行えば良いのですが、レーザーターンテーブルの場合はそう簡単には行きません。 何故ならアームに相当するレーザーピックアップ部の高さ調整が出来ないからです。
デジタルノギスを使ってオリジナルのターンテーブルシートの厚みを計測したところ、写真のように4.86mmでした。
新品では、5mmだったのかも知れませんがかなり柔らかな発砲スポンジのようなシートなので、間違いなく凹んで来ていると思います。 そこで、新ターンテーブルシート?の厚みは5mmとしました。
全体を覆うシートではなく8 ポイントでレコード盤と接し、振動を伝えにくく、レコードをしっかりとホールド出来るようにハネナイトゴムの上に発砲ゴムを組み合わせたものです。
シートの厚さと関係が深いので、一般のプレーヤーで行うアームの高さ調整に変わるレーザーピックアップの高さ調整について調べてみます。
スターベースの上にレーザピックアップとリニア移動用のユニットが一体となって乗ります。
左が乗る前の状態で、右が乗った状態となります。 左の写真のプラッターの上にターンテーブルが乗るため、スターベースとレーザーピックアップユニットの高さが重要となります。
ちょっと信じられないのですが、高さ調整は写真にあるワッシャーで行っているようです。
高さの異なるワッシャーを組み合わせて4ポイントで水平を取っています。 それぞれの個体によりワッシャーの数や種類が異なりいかにも手作りという感じがします。
レコードの細い溝を読み取る事を考えると精密機器で間違いありませんが、ピックアップとボディーの水平及び高さ調製をワッシャーで行っているとは驚きでした。
オーディオメーカーと呼ばれる会社がメカを設計し作れば、こんな調製をしなくても水平・高さなど問題なく組み立てられるよう製造出来るはずです。
逆に20数年に渡り、いくら手作りといってもこのような地道な組み立て作業を行ってきたことには敬服します。
左は2種類のワッシャーを組み合わせ1,3mmの高さ調整を行っており、右は1種類のワッシャーを3枚組み合わせ2,4mmの高さ調整を行っています。
この高さ調整によりレコード盤面とレーザーピックアップの焦点距離を程よく保っているわけですが、レーザーピックアップ自体のストロークは以外に大きく両方の高さでレコード再生を行いましたが、問題は起きませんでした。
しかし、レコード盤による厚さ(重さにより変化)にも配慮しなければなりません。
通常盤での厚さは1,89mm 程度ですが、200g盤は2,33mm程あるため、高さ調整を2mmとしてみました。
レコードの重量ばかりが注目されますが、同じ材質で、同じ直径ならレコードは当然重量の分だけ厚くなっていくので、通常のプレーヤーで言えばアームの水平を取るためには盤厚(重量)ごとにアームの高さ調整する必要があります。
オリジナルモデルは140gの標準的なレコードをターゲットにして調整されているようで、最近の高音質盤のように200gの厚いレコードを再生すると上手く再生されないこともあります。